※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 26 ~
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困ったみたいに、雀ちゃんが頬を人差し指でかいた。
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わたしの事を”言う事聞かない酔っ払い”としか見ていない彼女は、んー……。とか言いながら悩む素振りを見せて、そのあと、パッと両手をわたしに向かって広げた。
「おいで?」
「っ……」
ず、ずるいでしょその呼び方は……!
それまでは彼女の要求を全部突っ撥ねてやるんだから、と言わんばかりの構えだったわたしが思わずたじろいだ程、彼女の腕の中は魅力的に目に映る。
だけど、なんていうか……雀ちゃんにして欲しいのは、「抱き締める」じゃなくて、「抱く」なのだ。
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だけども、酔っ払いに関しての観察眼は長けている雀ちゃんが、わたしの変化を見逃す訳もなくて、広げていた両手の幅を少し狭めて、こちらに手を伸ばすようにした彼女がもう一度、誘う。
今度はさっきよりも、5割増し優しい声で。
「おいで?」
と。
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そんなふうに呼ばれて、陥落しない訳もなく。
引き結んでいた口から力を抜いて、わたしは彼女の腕の中へと収まった。
「いい子」
体を冷やさない為なのか、お腹あたりまで布団を引き上げた雀ちゃんの腕が、わたしの頭を抱き締めた。
嗅ぎ慣れないボディソープの匂いを吸い込みながら、彼女の声の優しさにまた、胸をキュンとさせてしまう。
我ながら、乙女思考全開だなと呆れる。
酔っ払いと思われているのは癪だけど、こんなふうに甘やかされるのは、悪くない。
背中を撫でる手も、腕枕も心地良くて、本当に「おひるね」をしてしまいそうになる。だけど、朝は自然と目が覚めるまで眠ったし、睡眠時間も十分だろう。だからここで、惰眠を貪るわけにはいかないと、下半身が叫んでいる。
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額に口付けを受けながら、どうすればここから雀ちゃんをその気にさせられるだろうかと考える。
バーで酔っ払いの対処に慣れている雀ちゃんは、元々の理性の強さもあって、『のぼせそうな程温泉に浸かった + ふらつく程の酔っ払い』状態のわたしには、そう簡単に手を出してはこないだろう。
ということは、『彼女の理性 vs わたしの色気 + 雀ちゃんの下心』てことになる。
うーーーん。勝てるかしら……?
理性、強いからなぁ……雀ちゃん。
――だけど、それが崩壊した瞬間から、スゴイのよね。
あの崩壊後のえっちは、なんだかもう、骨までしゃぶりつくされるってこういう事なのかしら、と思うくらいに、激しいのだ。
またそれが、気持ちいいからたまらないし、そんなえっちをする時の雀ちゃんの目といったら、思い出すだけで下腹部が疼きそうになるくらいなのだ。
熱くて、鋭くて、甘くて、痺れるような、あの眼。
理性を突いて突いて、これでもかというくらい突いたその後、崩壊した理性の中から鎌首を擡げた本性。
それに求められる快感を覚えてしまったわたしは随分と、欲張りになってしまった。
きっと、今から、雀ちゃんは心の中で、葛藤する。
その中で自分を責めてしまうかもしれない。のぼせそうな酔っ払いに手を出してしまったと自己嫌悪するかもしれない。
――ごめんね、雀ちゃん。後でちゃんとフォローするから……。だから。
「キス、して?」
優しい恋人の腕の中で、わたしはそっと、呟いた。
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