※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 23 ~
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「はい、終わりましたよ」
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ドライヤーのスイッチを切ると、乾いた髪をサラリと撫でて、雀ちゃんは鏡越しにニコリと視線を寄越した。
「ありがとう。なんだか本当に美容師さんみたいね」
元あった場所にドライヤーを片付ける彼女を振り返りながら立ち上がった途端、ふわっと体が揺れた。
いけない、どこかに手を着かないと、と思って咄嗟に洗面台へと伸ばしかけた手が、下から掬い上げられるようにガシリと掴まれた。その手の強さに霞む視界を僅かに見開く瞬間に、腰に回ってきた腕が、力強くわたしの体を抱き寄せた。
「あぶな。……大丈夫ですか? 愛羽さん」
最初の一言だけ、独り言のように呟いて、その後は随分と心配そうな色の雀ちゃんの声が、耳のすぐ横で響く。
耳が弱い、それはいつもの事だし、自他共に認める事実。
それに加えて、倒れないよう抱き寄せてくれたその腕の強さが相乗効果を発揮して、不覚にも、胸がときめき、下腹部がキュンと痺れた。
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――守られている。
久しく忘れていたその感覚を、記憶の奥からズリズリっと無理矢理に引っ張り出された。
胸が震えて、その震えは下へと伝わり、下腹部を揺する。
昨晩の行為の名残りもあるのか、普段より多く膣に溜まっていた愛液がトロッと外へと溶け出す。まるで月に一度の一週間の二日目のようなあの感覚にぎゅっと目を閉じた。
「愛羽さん?」
もう一度名前を呼ばれ、はっと目を開けた。
胸に押し付けていた顔をあげて「だいじょうぶ」と笑顔をみせて、抱き留めてくれた彼女を安心させないと。
不安の色が混ざった声の彼女はきっと、驚いているだろうし、一秒でも早く安心させないと。
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自分の足がしっかりと地面についている事を確かめて、わたしはゆっくり身体を離して、顔を持ち上げた。
シャープな顎を軽く引いて、わたしを覗くようにしている雀ちゃんを見上げると、当然、視線が交わった。
思った通り、心配そうな瞳。色素の薄い体質である彼女の茶色っぽい瞳が、こちらを見下ろす。
――言わなきゃ。大丈夫って。お風呂上がりで血流の良い状態でお酒を入れたからふらっときただけ。受け止めてくれてありがとって。言わなきゃ。
言わなければいけない言葉も、ちゃんと頭には浮かんでいる。
なのに、唇が、動かない。
見惚れたように、彼女の瞳から、目が離せずに、何故かジワリと視界が潤んでくる。
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視界が潤むということは、わたしの瞳が潤んできているのだろう。
一体どうして、と疑問を抱いたその瞬間に、自分の中で、答えは出た。
簡潔に、有り体に言えば、胸キュンしたから、だ。
倒れそうになったところを、思いもしない力強い腕で引き寄せて助けられ、下腹部が痺れるくらい、キュンとしている。
しかもそれで、愛液がじゅんと零れたその感覚も、わたしを軽く動揺させているのだ。
あぁあと、3%の缶チューハイのアルコールも随分回っているのも、あるだろうか。でも、バーで舌を肥えさせたわたしが、そんな程度のアルコール度数で酔う訳がない。
「あいは、さん……?」
雀ちゃんの吐息が、頬を撫でて、わたしの心臓をぎゅっと鷲掴みする。
自分でもハッキリと分かるくらいに、瞳が揺れて、それを見下ろす雀ちゃんの瞳も、同じように大きく、揺れた。
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