※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 20 ~
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二つの扉を抜けて、室内に戻るとひんやりとしていて涼しい。
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火照った身体を冷ましてくれる空気を心地良く浴びながら、ソファに浴衣を置いて、自分の鞄を探る。
使用済みの下着をそれ用の袋に入れて直すと、取り出した新しい下着に脚を通す。それから、少し迷ったけれど浴衣を着て、帯を締めた。
「あつ……」
やっぱりまだ浴衣を着るんじゃなかったと篭り始めた熱に若干の後悔を抱きながら、ポーチを持って鏡前へ。
そこに真っ赤な顔の自分が映ると、心配していた雀ちゃんの表情が脳裏を過ぎる。
確かにこんな真っ赤な顔してたら、「ついていきましょうか?」と言いたくもなるかもしれない。
美容液を肌に滲み込ませながら、チラ、と視線を投げたのはテレビの下。
――結局……買ったのかしら……?
露天風呂に来たときの雀ちゃんはなんだかケロッとした顔をしていて、「あぁああ大人の玩具買っちゃった! どうしようどうしよう!?」みたいな感じではなかった。
だからもしかしたら購入していないのでは? と思うものの、いやいやお風呂に来るまでに歯磨きとかしていたらしいし、その間に気持ちを落ち着けたのかもしれない。
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じっとその扉を見ながら、顔にいくつかの美容液を塗ったあとに、乳液をくりくりと塗る。
毎日繰り返している手入れなので、手元を見なくても出来るんだけど、それにしたって、テレビの下を見過ぎていると、自分でも思う。
だけど、気になるんだもの。
あの扉を開いて、大人の玩具の自動販売機を見れば、何を買ったのか、もしくは買っていないのか、それが分かる。
でも、仮にその答えを知ってしまったら……その後、どういうカオをして彼女といればいいのか、分からない。
ヘンに意識してギクシャクするのはどうかと思うし、でも、あのテレビの下は気になるし……。
「……はぁ」
声混じりの溜め息を吐いて、わたしは、ポーチにお肌の手入れ道具を仕舞った。
歯ブラシを手に取って歯磨き粉を付けて咥える。
その後、視線がいくのはやっぱり、テレビの下だった。
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――ていうか、こんなに気になるってことは、玩具を使って欲しいって、わたしは潜在的に思ってるってこと?
ふと沸いた疑問に、ぎょっとする。
でも確かに考えてみれば、どっちでもいい程度ならこんなに気にするかしら?
そもそも、雀ちゃんに「雀ちゃんが使いたいならわたしは構わないから」と言ったってことは……わたしは使いたいと思っていた……?
――ちがうちがう。
首を振る。
積極的に使いたいと思っていたんじゃなくて、相手が使いたいと主張するなら、使ってもいいよ、という程度。うん。そう。その程度よ。
――だけど……玩具に興味あるのかって話振ったのは……わたしだし。
「ん゛ー……」
シャコシャコと歯ブラシを動かしながら、唸る。
あれこれ考えているものの、わたしはきっと、認めたくないだけだ。
今までラブホテルに来たことは何度もあって、そういう類の物を目にしてきた。大人になって飲み会が増えれば、そういう下ネタというか女子トークというか、夜の事も耳にする機会も増えた。
そんな中でなんとなく収集していく情報には、ラブグッズを使うとマンネリが解消されたとか、その日の夜はとてつもなく盛り上がったとか。まるでラブグッズは魔法道具なのかと思うような話があった。
興味はある。使ってみたいとも思う。けど使ってみて受け入れられなかった場合、ちゃんと止めてもらえるか。それで雰囲気が悪くなってしまわないか。
それが不安で、手を出せないでいた。
わたしはそう、認めたくないだけなのだと思う。
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