※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 19 ~
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そんなイイモンじゃないって言うのに、なんで見たがるんだろう。
理解できないなぁ、と不可解な表情をしている雀ちゃんに小さく笑った。
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「わたしがパーティドレスとか着たら、見たい?」
「見たいです!」
キラキラっと目を光らせて、何度も頷く雀ちゃんが可愛い。
なんていうか、ここまで素直で可愛い反応されたら、気持ちいいくらいだわ。
「それと一緒。雀ちゃんがイベントで普段と違う服装してるなら、見てみたいの」
「似合ってなくても?」
「うん」
ええ……? とまだ納得しない彼女の頬をぷにぃと人差し指で押し込む。
「見たいの。わたしは」
「まだ健介さんの方が似合ってますよ、メイド服」
「嫌よ。雀ちゃんが見たいのに何で他の男の人の女装見て喜ばなきゃいけないの」
きっぱり告げると、なんだかむず痒そうな、それでも嬉しそうな口元をする雀ちゃんが可愛い。
押し込んだ頬を、指の甲で撫でて、更に駄目押しする。
「わたしが好きなのは雀ちゃんで、貴女の全部を見てみたいと思ってるのよ?」
お湯を揺らして彼女へ近付き抱き締めるとわたしの肩に顎を乗せた雀ちゃんが吐息をついた。
ほっとしたような、まるで午後三時、コーヒーを飲んだ一口目のあとの吐息みたいなそれに、思わず、目元を緩めた。
水滴の光る首筋に軽くキスをして、唇を彼女の耳に寄せて、囁いた。
「大好きよ」
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ふるっと体を揺らした雀ちゃんの肌に、プツプツプツと鳥肌が立った。首も胸元も腕も粟立っている。
「なぁに? 感じちゃった?」
「……若干」
不覚だ。という雰囲気で言う雀ちゃん。
肌を粟立てるというあからさまな反応をしてしまった手前、認めない訳にはいかない。
そんな渋々の返答だったけれど、わたしとしては、そんなつもりもなく愛しさを口にしただけだったし、肌へのキスも目の前に綺麗なそれがあったから唇を寄せただけ。
なのに雀ちゃんを感じさせられたのだ。
予想外の報酬に、調子に乗りたくもなる。
「このまま、抱かれたい?」
薄く笑みを刷いた唇でそう艶っぽく告げてみると、「う」といつもの癖が耳に届いた。
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あまりにも解り易い彼女のその反応にクスクスと笑いを零せば、わたしの腕を彼女自ら解いて、「か、からかったんですねっ」と羞恥に染まった顔を見せてくれた。
「ふふ。ごめん。抱きたいっていうのは結構本気なんだけど、もう限界」
彼女の肩に手を置いて、支えにさせてもらいながら、ざばっとお湯から上がった。
「暑い……のぼせそう」
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お湯から露わにした体を目にした雀ちゃんが、目を丸くする。
「真っ赤じゃないですか!」
「え……? あぁ、のぼせる直前はそうよ。でもまだ平気。雀ちゃんはもう少しゆっくりしてなさい」
元々肌が白いせいなのか、長く湯に浸かると、こうして肌が赤くなる。
赤くなった肌と白い肌の境目が肩下あたりで真っ直ぐにあるのは、お湯の高さ。ここまでお湯に浸かっていたのだ。
「大丈夫ですか? ついていきましょうか?」
いつぞや、温泉でのぼせたわたしを見ているだけに心配なんだろうけれど、今回はお湯の温度もそこまで高くなかったし、頭もクラクラせずはっきりしている。
岩に手をついて今にもお湯からあがってきそうな彼女に首を横に振ってみせる。
「へーき。まだのぼせてないもの」
ゆっくりしてなさい。ともう一度告げて、わたしはバスタオルを体に巻き付けて、自分の浴衣と隠した下着を抱えて、露天風呂を後にした。
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