※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 15 ~
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迂闊だった。
ちゃんと、テレビ下の右側って言えばよかった。
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後悔しても、もう遅い。
彼女はまじまじと、大人の玩具の自販機を眺めてしまっている。
実を言うと、わたしも昨日、同じ事をしたのだ。
お風呂に入った雀ちゃんの裸を見たあと、やけに喉が渇いて、飲み物を探した。
ラブホテルには大概、冷蔵庫の中かもしくは自販機が置いてあって、好きなドリンクを購入することができる。
部屋をざっと見回したところ、まぁあるのはテレビの下だろうなと思って、テレビ台のようになっている扉を開けた。
カラオケの機械とかブルーレイレコーダー、電子レンジ。小型冷蔵庫。そして、自販機が二つ。ドリンク類と、大人の玩具。
雀ちゃんの居るシャワールームから、シャワーの水音が続いていることを確認して、じっと見つめるのは大人の玩具の自販機。
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……興味がない訳ではない。が、使ったことは一度もない。
過去、一度だけ、使ってみてもいいかと尋ねられた経験があるけれど、当時付き合っていたひとは興奮すると痛いくらいに腰を突き動かしてくる人だったから、丁重にお断りした。
普段は優しいから”乱暴”という言葉をここで用いるのはちょっとおかしいかもしれないけれど、あえて。
乱暴なひとに大人の玩具という武器を与えてしまったら、……何をされるか分かったものではない。その人はジムに通って体を鍛えていたから、抵抗したくとも力では敵わなかったし。
他のひとも、こういうラブホテルに来たら枕元にマッサージャーがあって、それに目をやる男性は多かった。
けれどわたしが、先手を取って「清掃後でビニールカバーがかけてあって綺麗に見えても他のひとが使ったやつだからちょっとね」と言ってみせると、皆それを手にとることは無かった。
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もし。
もしも、だ。
雀ちゃんがこういうのを、使いたいと言ったらどうだろう……。
手錠はまぁ、腕を縛られるのと同じだから、まぁ許せる。
アイマスクも、きっと平気。
ローションは……多分、へいき、かな?
ピンクローターは……、……うーん……と、正直、分からない。このくらいなら大丈夫かしら、と思う一方、これがどれ程の威力なのか、体感したことがないので、なんとも言えない。
卑猥な形をしたバイブレーターも、ピンクローターに同じく、だ。
使ったことがないから、分からない。
――じゃあ、使ってみたい?
自分自身に問い掛けてみて、動けなくなる。
……わたしの今の恋人は乱暴なひとでも、体をジムで鍛えている訳でもない。
今まで何度も身体を重ねてきたけれど、優しいえっちをする人だなと、何度も思った。
玩具を使ったえっちの最中でもきっと、泣いてお願いすれば止めてくれるし、慰めてもくれると思う。
――使っ…………て、……み、た……ぃ…………?
いや。
いやいやいやいや。だめよ、うん。こんなの。一人で妄想してちゃだめ。
雀ちゃんはこういうの嫌いなコかもしれないし。だめ。うん。だめだめだめ。
部屋に一人なのをいいことに、わたしはブンブンと首を振って、右隣りの扉をあけて、ドリンクの自販機のボタンを押して、お茶のペットボトルを取り出した。
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昨晩の回想を一瞬だけ過ぎらせて、熱が頬に集中する。
もっていたボトルをテレビの横に置いて、わたしは彼女の隣にしゃがみこんだ。
「熱心に見過ぎじゃない? 雀ちゃん」
「いや、こんなの初めて見たもんで、すごいなーと思って」
彼女が指差したのは、卑猥な形をしたバイブレーター。なんかこう、ゴツゴツしていたりブツブツしていたり、すごい形だし、太い。あんなのが入るかしら、と思うくらいには、太い。
「…………雀ちゃんは、さ。こういうの興味、あるの…?」
どっくどっくと心臓がうるさい。
自分は一体なにを尋ねているのか。こんな聞き方したら、なんだか、こちらが誘っているように思われたりしないかと心配になる。
反応を窺うようにちら、と隣を見上げると、雀ちゃんはちょっとだけ頬を赤くして、後ろ頭をかいた。
「え、あー…っと…その、な、何でそんな質問を?」
「ん、と…。使ってみたいとか思うのかなーって。恋人として、確認しとこうかな……って……」
彼女の照れが伝播したのか。それともわたしの照れが、すでに彼女に伝播していたのか。
二人して、大人の玩具がずらりと並ぶ自販機前で、しゃがみこんで、顔を赤くして、ぽそぽそとたどたどしく会話する。
雀ちゃんは、ちらっと、一瞬だけこちらに視線を投げて、それから、また、正面に戻して言った。
「愛羽さんが嫌じゃないなら、使ってみたい、ですかね」
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