隣恋Ⅲ~のたり~ 13話


※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※

※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ のたり 13 ~

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 それから二人で食事を始めたのだけど。

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 目の前でどんどんお皿から彼女の胃の中へと消えてゆくそのカツカレーに目を丸くした。

「…………。」
「なんです? あ、いりますか?」

 半分くらいもうなくなったカレーのお皿をこちらへ押し出そうとしてくる雀ちゃんに、慌てて手と首を横に振る。

「い、いい、ありがと。……よくそんなに朝から、と思っただけだから」
「もうちょっと食べれますよ?」
「じゃあこれ、食べる?」

 わたしの前にあるお皿には六切れのサンドウィッチ。卵、ハムサラダ、ツナが二切れずつあって、その横にコーンポタージュのスープ。
 朝からそんなに食べられないわたしは、とりあえずスープであまりお腹を膨らませない内にと、それぞれ一つずつを食べた。

 もうこのあと、スープを飲めばお腹いっぱい、という雰囲気のお腹具合なので、余裕があるのなら、食べて欲しい。

 お皿に残った三つのサンドウィッチを指差すと、今度は彼女の方が、目を丸くした。

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「もう食べないんですか?」
「あとスープだけで十分過ぎるくらいなのよ」
「ええぇ……痩せますよ?」
「それは嬉しいけど、きっとこの二日で太ると思う」

 たったそれだけで、という顔をされても、わたしの胃は大きくならない。
 両手で持ち上げたスープカップを満たす、黄色い液体にふぅふぅと息をかける。

 だっていつもの通勤とかで使う脚の筋肉や、混み合う人込みを避けて歩く際のお尻の運動。デスクワークでピンと伸ばした姿勢を保つ腹筋背筋。会議で声を張るインナーマッスル。
 そのどれも使っていない上に、こんな美味しいごはんが電話するだけで出てくるんだもの。

「太るくらいでちょうどいいと思うんですけど」
「やだ」

 キッパリと言い放つと、雀ちゃんは肩を竦めて残りのカレーをスプーンですくった。
 体重や太る痩せるの話をするといつも彼女は、「太れ」と言う。

 三十路に着々と近付くこの体は、学生の頃と比べて確実にお肉がつきやすく、痩せにくくなっている。
 太るのは簡単なのに痩せるのは難しいそんな体に「太れ」だなんて、まったくほんとに、自分が若いし太らない体質だからって酷い話だ。

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「運動しなきゃ」

 室内でも腹筋とかならできるだろうし。と他には何が出来るかしら? と思案し始めたわたしのお皿から卵サンドウィッチを取り上げた雀ちゃんが、にやっと笑った。

「手伝いますよ?」

 そのニヤついた顔で、彼女が何を考えているのかは大体察しがついて、わたしは顔を赤らめた。

「そーゆーイミで言ったんじゃなくて」
「でも全身運動でしょ?」
「そっ…れはそうだけど」
「そういうダイエット方法あるって聞きましたけどね」

 にへっと笑う雀ちゃんは可愛いのだけど、言ってる事が随分際どい。
 昨晩もいっぱいしてもらったし、さっきもあんなに熱くなるまで可愛がってもらったものだから、なんとも言い返せない。

 言葉に詰まって彼女をにらむと、「食事中にする話じゃなかったですね?」と爽やかさにやらしさを数滴混ぜた顔付きをする。

「……」

 無言のままスープカップに口をつけて視線を逸らすと、正面で笑う気配。

「さっきまであんな欲しそうな顔してたのになぁ」

 吹き出しはしなかった。喉の変な方にもスープは行かなかった。だけど、小さく「えほっ」と咳をして、ツナのサンドウィッチを掴む手を睨む。
 顔を睨んだらまた、にこやかに笑顔を返されそうだったから、手を、にらむ。

 こうなったら、仕返しだ。

「……。言っておくけどね、雀ちゃん」
「何を言っておきたいんです?」

 カップから立ち昇る湯気越しに、余裕の笑みを浮かべている彼女をじぃとねめつけた。

「わたし、ここで絶対1回は貴女の事抱くからね」

 ラブホテルに来る事が決まった時から、わたしの中で雀ちゃんを少なくとも一度は抱く計画を企てていた。
 だって、せっかくのホテルだもの。抱かれるだけじゃ、もったいないし、やっぱり恋人の可愛いところはいっぱい見たいし、声も聴きたい。

 そうなるとやっぱり、抱きたいじゃない?

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