※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 9 ~
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んぐ、と雀ちゃんが真っ赤な顔をして、喉の奥で声を詰まらせた。
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そんなにキスの誘いがドキドキするものなのかしら。と疑問が沸くと同時に、初心な反応をする彼女を揶揄いたくなる。
きっと、好きなコ程いじめたくなるという、小学生男子的な思考がわたしにもあって、彼女の初心な反応は一々、そこを刺激してくるのだ。だから。
「キス、いや?」
と、答えが分かっていながら、ちょっとだけ悲しそうな顔をしてみせてから、彼女の返答がある前に、その体の上から退けるべく、彼女の首から腕を外した。
雀ちゃんの目から視線を外して、両手を彼女の顔の横について体を持ち上げかけた瞬間に、がし、と左腕を掴まれる。
「嫌な訳ないじゃないですか」
やけに真剣な声だ。雀ちゃんの顔に視線を戻せば、その声と同じくらい真面目な顔をしているわたしの恋人。
もともと、中性的な顔立ちなので、そうしてキリっとした表情を浮かべると、にくらしいくらいに、カッコいい。きっと、わたしの恋人贔屓した目もあると思うけれど、格好良い。
しかも。
しかもだ。
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元来の性質なのか、意図的にそうしているのか謎だけど、雀ちゃんの仕草は甘ったるいものが多い。
頭を撫でたり、頬に手を添えたり、髪をかき上げて耳にかけてくれたり。色々と、甘い。
雑誌やテレビなんかで特集される『女のコが喜ぶ仕草ランキング』は網羅してる……と思う。あ、いや、床ドンはまだないんだけど上位ランクは制覇した気がする。
普通にしてて、こんな感じで、項に手のひらをあてて、引き寄せるようなこと、普通の男性はしない。せいぜい、腕を引っ張るくらい。
「ん」
引き寄せられるままに近付いて、首を起こして迎えにきてくれた雀ちゃんと、唇を重ねる。
軽く重ねたそれを彼女が啄んで、さらに、角度を変えてキスを深くしながら、項をひっかくものだから、たまらない。
声はなんとか我慢したものの、「…ふっ」と息が零れてしまう。だけど、その息さえも食べるみたいに、雀ちゃんのキスはどんどん、深くなる。
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いつの間にか、両手を着いていたベッドに、肘をついている。引き寄せられるまま、求められるまま、口付けを交わしていただけなのに。力が抜けて仕方ない。
揶揄うための言葉が、彼女の引き金を引いたのか。
舌を掬われ、舐められ、吸われ、擽られ、支えていた自分の体重を、刻々と手放している気がする。
熱を抱えた雀ちゃんの舌がわたしに触れる度、昨夜の記憶が甦ってくる。腰が砕けるような感覚と共に、下半身を支える膝もずるずると角度を失って、雀ちゃんの裸のお腹と、わたしのお腹がくっついた。
「待、って」
息継ぎの合間に蕩けた声で訴えても、黙殺されて、代わりに、すでに粟立っている項の肌を、雀ちゃんの爪が軽くひっかいた。
「は、んンん…っ」
ぞわぞわぞわっ、と腰の後ろがざわついて、疼く。
何かに縋りたくて、肘を着いている両手で、彼女の頭を抱えるようにして髪をぎゅっと握った。
どうしようもない時、いつもこんなふうに彼女の髪を握ってしまうのだけれど、痛いかなと心配できるのはほんの一瞬で、その心配は言葉にも出来ず、快感に支配されてしまうのだ。
申し訳ないとは思っているのだけど、身体の中に生じたあの感覚は、自分ひとりではどうにも堪え切れずに、彼女に頼ってしまう。
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「もっと、キスさせて。愛羽さん」
雀ちゃんに項を引っ掻かれたと同時に、一方的にキスを解いて、口を引き結んでしまっていた。そんなわたしの唇をぺろりと舐めて誘いながら、彼女は言う。
「くち、開けて」
と。
ぎゅっと閉じていたはずの瞼が震えるくらい、その声は色っぽくて、艶がある。
鼓膜までそうやって愛撫してくる彼女に逆らえるはずもなくて、わたしは言われた通りに、従うのだった。
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