※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 8 ~
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なんともいえない表情を引っ込めた雀ちゃんが、赤くなった額を擦りながら、蹲っていた体を起こした。
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ヘッドボードに背中をつけて体育座りをする私の方を向いて、正座をしている雀ちゃんは、ショーツを穿いただけの格好。
いつの間にそれを穿いたんだろうと記憶を辿ってみると、そういえば彼女は昨日脱いでいない。わたしばっかりぽいぽいと脱がせて、なんてずるい。
「? どうかしました?」
「んー…」
今から脱いでっていうのも、なんだかおかしいし。ま、今のとこは見逃してあげよう。
「なんでもなーい」
わたしは軽く首を振って、身を乗り出すと彼女の首に両腕を回して、しなだれかかるように雀ちゃんを背後へ向けて、押し倒した。
「ぅわ」
ぼいんぼいん、とベッドのスプリングが軋み、揺れて、わたし達を受け止める。
家のベッドではこうはいかない。
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「んふふ」
押し倒された彼女が驚いた顔をしている。額が赤いのでなんとなく、間抜けた顔付になっていて、可愛いらしい。
「おでこ、赤い」
「誰のせいですか誰の」
「電話してるのに悪戯してくる雀ちゃんのせいですけど?」
なにもしてないコに、デコピンなんてしないし、わたしのせいじゃないもんとばかりに、正当さを主張する。その主張は尤もで、彼女自身も返す言葉が見当たらないのか、口を噤む。
唇の笑みを濃くしたわたしは、首に腕を回したまま、その赤い額に顔を寄せ、口付けた。
わたしが少し背伸びをするように動いたことで、裸の胸同士がこすれる。
ほんのわずか、トク、と心臓が高鳴ってしまったことに、気付かなかったフリをして、わたしは額からそっと唇を離した。
「ぁ、の……」
まるで額の赤みが、顔全体に伝播してしまったように赤い。
不意を突かれて、言葉も上手く出てこない様子の彼女の額にもう一度口付けて、さらに、ぺろ、と舌先で舐めてみた。
「愛羽さん……っ」
額に触れる温かい感触で、見えていなくとも何をされたのか理解したのだろう。焦ったような声をあげる雀ちゃんに「んう?」と問い返す。
彼女の反応が、思っていたよりも可愛いくて、更に、ぺろぺろりと舐める。その様はきっと、猫の毛繕いに似たものがあるだろう。
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「顔、まだ洗ってないし」
別に、汚いとも思わないんだけどな。雀ちゃんだって昨日散々、わたしの体のあちこち舐めてたし、一緒じゃないの。
と、言い返したいけれど、わたしは今彼女の赤くなった額を舐めるので忙しい。
一瞬だけ、舌を引っ込めて、
「だから?」
とだけ言う。
すると息を詰まらせるように彼女が喉を鳴らして、そのあと、動揺と困惑を混ぜた声音で「あの、えっと」と意味もない言葉を発する。逆を返せば、それしか言えないのだろう。
なにやら、舐めている額まで羞恥によって赤く染まってきたので、少し可哀想になる。
――ほんと、初心なんだから。
可愛いさを心の中で溢して、わたしはそっと、彼女に密着していた体を離した。
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改めて彼女の顔を見下ろせば、随分と赤い。
最初あったデコピンの赤みなど分からなくなってしまいそうなくらいに赤いその顔には、ハの字眉と、若干潤んだ瞳、への字口。
なんとも情けない顔。
だけどそれがたまらなく、可愛いのだ。
「おでこ、痛くなくなった?」
「ぇあ、は、はい……っ」
裏返る声も可愛さを引き立てて、たまらない。
可愛いくて可愛いくて、胸がきゅんとなる。
雀ちゃんはいつもわたしの事を「可愛いです」と言うけれど、そっくりそのままお返しする。
だって、可愛いくて仕方ない。
だから。
「ねぇ、キスしてい?」
と、聞きたくなるのだ。
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