※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 5 ~
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幸せホルモンがドバドバ出てる気がする。
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もう蛇口をめいっぱい捻ったみたいにジャーっと。
抱き締めて、抱き締められて、お互いの体温にじわああぁと癒される。
きゅんきゅんと胸が痺れるような感覚さえも覚えて、わたしはさらに、彼女に抱き着く腕に力を込めた。
「愛羽さん?」
「んー?」
きっと、ぎゅっと抱き着いたらだと思うけど、雀ちゃんが窺うようにわたしの名前を呼んだ。
なんでもない、と言えばいいのだけど、それすらちょっと面倒なくらい、この腕の中が気持ち良くて心地いい。
生返事をかえしたわたしの背中をさらりと撫でながら、雀ちゃんが顎を引いてわたしの顔を覗き込んだ。
「どうかしました?」
「幸せだなーって」
「え?」
ただただ幸せに浸っていたのだと伝えたくて、顔をあげると、意外と近い距離に彼女の顔があった。
軽く首を伸ばせば、キスできそうな距離なので、とりあえず、キスする。
特に意味はないキスだけど、恋人とキスするのに一々意味なんて見つけていたら、日が暮れてしまう。
そのくらい、わたしはキス魔なんだけど。
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「雀ちゃんとこうして、時間も何も気にせず、一緒にいられるのが、すごく幸せなの」
自然と浮かんだ笑みをみせると、雀ちゃんが少し、驚いたような表情になった。虚を突かれたという感じでもあるのだろうか。
軽く目を見張った彼女の瞳が、ふるっと揺れたので、何か……思う所があったのだろう。
彼女はなんでもない事を、まるで特別なことと感じる節があって……例えば、そう。一緒にエレベータに乗って、マンションから出たときも、とても嬉しそうに、「こういうの、いいですね」と瞳を震わせていたことがあった。
だから、わたしにとってはなんでもない、たまたま出勤時間と登校時間が被っただけの事が、雀ちゃんにとっては目的地は違えど一緒に出掛けられる貴重な機会、と思えるらしい。
その眩しいくらいに純粋な彼女の思考を全て把握することはできないけれど、何か、感じ入っているのは察知できる。
その邪魔をしないように、ふわっと笑ってみせて、わたしは再び、彼女の胸に顔を擦り寄せた。
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温かい胸に額を押し付けてみると、トクトクトクトクと少しばかり心音が速い。
背中でも撫でてあげようかな、と彼女の腰あたりに乗せていた腕を持ち上げかけると、ふいに、頬に手を添えられた。
「ぇ?」
小さく声を漏らす暇しかないほど、鮮やかに、滑らかに、くいと上向かされて雀ちゃんの顔が降ってくる。
重ねられた唇に「んっ」と漏らすも、落ち着かせるように頬を撫でられて、わたしはやんわりと目を閉じた。
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ちゅ、ちゅぅ、と何度も何度も啄まれる唇。丁寧なくせに、どこか熱を孕んだその口付けが、甘く、わたしの思考を溶かしていく。
そろそろお風呂に入って、ご飯を注文したい頃ね、と考えていたことなんて忘れて、彼女とのキスに耽ってしまう。
だって、背中がゾクゾクしてきて、わたしの下唇をねっとりと舐めているその舌に、舌を伸ばせと、その悪寒が急かすのだ。
さっき自分で言ったじゃないか、時間も何も気にせず、と。
朝から襲われても構わない、と。
――そう、よね……別に何も、困ることないんだし。
ちぅぅ、と吸われて引っ張られた下唇が解放されてぷるんと跳ねる。戯れるようなキスを再び降らせてきた雀ちゃんへ、舌を伸ばした瞬間だった。
ぐぅるるるっ。と大きなお腹の音が聞こえたのは。
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