※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 3 ~
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ばふんと、彼女の上に覆いかぶさるように倒れ込む。
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一応、加減はしたのだけど、それでも勢い余ってちょっと痛かったかも。
ううん、そんな事ないか。
だって、胸だもんね。
脳内で一人会話を完結させて、わたしはちょっと顎を引いて「むごむぐぐ」としか聞き取れない何かを言っている恋人を見下ろした。
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「悪いコにはおしおきが必要だもんね?」
別に、わたしの胸を見てえっちな妄想を繰り広げても悪くないのに、そんなもっともらしい事を言って彼女を押し倒し、窒息させるが如く顔を胸で押しつぶしているわたしは随分と、いじわるかしら?
でも、昨晩の雀ちゃんも結構、いじわるだったと思うのだけど。
「ふぐぐむご……!」
自由な手で、ベッドをタップしてギブアップだと訴えている雀ちゃんが可愛い。
その可愛いさに免じて、許してあげようかしらね、そろそろ。
彼女の頭の両脇に両肘をついて、上半身を軽く持ち上げる。
「っだ……!?」
はぁはぁはぁと結構本気の窒息をしていたみたいで、彼女は酸欠で赤くなった顔をのぞかせ、荒い呼吸をわたしの胸の下で繰り返した。
が、その呼吸が熱いったらない。
不覚にも、昨晩の記憶が一瞬、フラッシュバックして、小さく声が漏れたけれど、雀ちゃんは酸素を貪るのに必死で聞こえなかったみたい。
――あぶなかった。
だって、こんな事しておいて彼女の熱い息をかけられて感じましただなんて、口が裂けても言えないし、むっつりすけべの雀ちゃんのことだ。そんなわたしに気付いたら絶対に、形勢逆転とばかりにその顔に意地悪な笑みをのせて、わたしの腰にガシリと腕を回してくることだろう。
そんな弱みを握られた状態でスタートしたらきっと、物凄く、いじわるされて、恥ずかしい事をたくさんされる気しかしない。
夜ならまだしも、朝からそういうのはちょっと……まだ少し眠いし、何より腰が重たい。
できれば優しいえっちを希望したい。
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まだ呼吸を整えている雀ちゃんの上から、それとなーく、自然に、退けてうつ伏せのままベッドに片肘を着いて、頬杖をついた。
――これで、息がかかったりしないわね。
よし、とばかりにほくそ笑んで、彼女の呼吸が整うのを待つ。
「な、なに、するんですか……」
「え? なにって、おしおき?」
「むっ、胸で窒息させる事の何がおしおきですか…っ」
「まぁ雀ちゃんにはご褒美だったかもねぇ?」
「ごっ……!」
真っ赤になっちゃって、可愛い。
途中で声もでなくなってしまったのか、「ご」で止まった言葉を継いでわたしが「ほーび」と猫撫で声で言ってあげると、雀ちゃんは耳まで真っ赤にして片手で顔を覆ってしまった。
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――あらら、照れちゃった。
ちょーっとこうやって小首を傾げて色っぽく喋るだけで、ノックダウンされちゃうんだから。ほんと、可愛い。
でも、ノックアウトじゃないところがまた、ガッツがあって、若くて、伸びしろを感じさせるのよね。
頬杖でない方の腕を伸ばして、よしよしと頭を撫でてあげると、雀ちゃんは顔を覆う指の間から、ちろっとこちらに視線を寄越して、咳払いした。
「体、大丈夫ですか?」
あ、話題をすり替える作戦だ。と内心思うけれど、指摘はしない。
そんなこと一々してたら、話は進まないし、雀ちゃんはいじけちゃうだろうから。
「んー…。今のところ、腰が、だるいかなぁ?」
脚はまだ、立って歩いてみないと分からないから。今のとこ。
えっちの翌朝、だるいとか痛いとか筋肉痛とか言うと、雀ちゃんは申し訳なさそうな顔をする。と、同時に、その口元はむずっと嬉しそうな色を一瞬滲ませるものだから、本当に素直だなぁと感心してしまう。
そんなふうにしてしまって申し訳ない気持ちはあるけれど、昨日のえっちを思い出したり”そんな体になるまで求め合ったんだ”とかそんなことを考えているのが、丸分かりなのだ。
ほんと、可愛いったらないわ。わたしの恋人。
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