隣恋Ⅲ~のたり~ 2話


※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ のたり 2 ~

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 幸せに温かい胸。

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 寝乱れた髪もそのままに、わたしに微笑む雀ちゃんが可愛いくて、その首に腕を回そうとしたとき、自分の胸に彼女の腕を抱えていることに気付いた。

 ご丁寧に両腕でぎゅっと抱え込んでいたその腕は、夢の中で抱えたオールとダブって見える。
 なるほど。わたしはどうやら、相当、寝ぼけていて、夢の中の行動を現実でも同じように起こしていたみたいだ。

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 こうして抱きかかえてそんなに時間は経っていないけれど、寝辛くさせていたかしら。と不安になる。

「腕、痛くなかった?」
「え? いや全然むしろ、ぁ、いや」

 なんでも。と咳払いをする雀ちゃんが、可愛い笑顔を引っ込めて、視線をそらした。そういう仕草をするときは、決まって彼女はやましい事を考えていたりする。だから、「やましい事あります」と宣言しているようなものなのに、そこに気付かない愛しさ溢れるおばかちゃんなのだ。

 しれっと、「大丈夫でしたよ」とか言って頭を撫でられてしまえば、きっと今回、何のやましい事を抱えていたのかは知らないけれど、寝起きのわたしが察知することはなかったのに。ほんと、可愛いんだから。

 そういう所は年下らしいし、スレてないのが魅力的だ。

 ――スレてないのが眩しく目に映るってことは、わたしがスレてるってことなんだろうけれど……。

 否定はできないわねぇ、とわたしは軽く目を細めた。

「むしろ、なぁに?」
「な、なんもないですって」
「んー?」

 愛想笑いを浮かべてももう遅いのよ。
 自分でやましい事宣言したのだからちゃんと白状しなさいよね、と心の中で呟いて、彼女の腕を胸に抱え直してみた。

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「あ、う゛」

 ぼっと赤くなる雀ちゃんの顔と、いつもの癖に、ピンとくる。
 そっか。きっと、そういうコトね?

「ねーぇ? 雀ちゃん」
「ぇ、ぁ、はい……?」

 布団の中で、絡み合っていた素足を軽く持ち上げて、彼女の生足を親指でツツツと撫でる。
 一瞬だけ、足へ向けられた視線だが、そこで何が起きているのかは布団によって阻まれて目視することが出来ず、雀ちゃんはわたしの顔に視線を戻した。
 その道中で一瞬、胸もしっかり見てたけど。

「昨日あれだけ、わたしの事可愛がってくれたのに、もうえっちなこと想像してたの?」
「いっ、いやいやいやそんなことはっ」

 図星されたらすぐ慌てる癖も、可愛いんだけど、分かりやすすぎる。
 もうちょっと本心を隠すということを覚えさせた方がいいのかしら?

 しかも、恋人の裸みて、えっちな事想像するのは悪い事でもなんでもないのに、どうして慌てるのか。
 なんなら、「実はもう欲しくなっちゃってたまらないんです」とか言って、朝から襲ってきても、わたしは全く、構わないんだけど。

 理性が強いというか、礼儀正しいというか。
 きっちりしている雀ちゃんは、寝起きに襲うのは「イケナイ事」だという認識らしい。

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 実はそういうのも期待して裸で寝ようと誘ったのだけど、そんな事は口にできない。
 もちろん、裸で寝るのは素肌同士でくっついて寝ると、ものすごく幸せなのよと教えてあげたくて、そうしたのだけど、彼女は解ってくれたのかしら?

 裸で寝ると相手の胸をじっと見れるからいいのか、とか見当違いの良さを発見していなければいいんだけど。

「ほんとーに? カケラも? 何も思わなかった?」

 コレ見て。と示すように彼女の腕を強く抱き締めて、胸を強調して盛ってみせる。と、そこに視線を落とした雀ちゃんが、また、ぶわっと顔を赤くした。

「お……」
「お?」
「思いました……」

 かぁぁっと赤く染めた顔が、可愛くて仕方ない。
 それに、この身体でえっちな事を考えてくれたというのは素直に、嬉しいんだけどな、わたし。

 バツが悪そうに視線をそらした彼女に、朝から胸がキュンキュンして仕方ない。
 可愛いさ満点の彼女に、わたしはご褒美をあげるべく、抱き締めていた腕を解放して、よいしょと体を起こした。

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