隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ 21話


※ 隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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  ~ 急ぐ鼠は雨にあう 21 ~

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 入り口に指はあるのに、それ以上は押し込まれない。
 もどかしさに歪む愛羽さんの顔を見下ろす私は、意地悪な顔をしているだろう。

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「もっと想像してください」

 瞳でにんまりと笑って、愛羽さんにそう告げる。
 蕩けていた愛羽さんの目に、すこしだけ驚きが混ざってくるけれど、構わずに私は続けた。

「この指でさっき、イッちゃったんですよね?」
「…っ……」
「愛羽さんをイカせた指が、また、ココに入ってくるんですよ?」

 ”ココ”と言うと同時に、指が滑り込まない加減で入り口を撫でてやる。

「今度は三本入れましょうか。ゆっくり。ゆっくり」

 想像力をかきたてるように、いつもの倍くらいゆっくりと紡ぐ言葉。私に色気というものが存在するかどうかはちょっと怪しいトコだけど、こんなに色気を持つ恋人をいつも見ているのだ。皆無ではないはず。
 その僅かな色気でもいい。台詞に込めて、少しでも愛羽さんを昂らせられるように。

「愛羽さんのココ、いっぱい濡れてヌルヌルだから、すんなり奥まで入っちゃうかもしれませんね?」

 愛羽さんの口から零れる吐息。
 指に小刻みに触れる痙攣のようなアソコのヒクつき。

 明らかに、私の台詞に従って想像している愛羽さんの反応に、内心、ほくそ笑む。

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 愛羽さんの腰は相変わらず、ゆるやかに動いている。
 ”もどかしい”と訴えてくる腰に捕まらないように、指をうまく引きつつも、軽く触れ続けて、甘やかに快感を与える。

「ンん…」

 薄く開いた唇から零れた甘い吐息を隠したがるように、彼女は唇を閉じる。
 それでも我慢できなかったようで、鼻から抜ける声はどうしようもなく、色香が漂う。

「三本にしたら、ちょっと太いかもしれないですね? でも、ゆっくり入れたら痛くないですから。いつもみたいに、ゆっくり、入れますね」

 まるで、指を挿れる行為が現実に在るみたいに語りかけるも、私の指は愛羽さんのナカには入れない。
 だって、挿れなくても、愛羽さんはこうして感じている。

 私が入り口を愛撫するその刺激で感じているのではない。
 言葉に、台詞に、感じているのだ。

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「ほら。もう指の半分まで入った」
「っ、ん、……ぅ」

 ヒクンと震える入り口は素直だ。

「愛羽さんのナカ、あったかい。もっと奥まで…入れさせてください」
「ふ、……っん……」

 入り口を撫でている指に、ナカからまた溢れ出た愛液が絡みつく。
 何も挿れていないのに愛液が溢れ出すのは、ナカがうねり、収縮している証拠だ。

 感じている愛羽さんが可愛くて、今すぐにでも、入り口を撫でている指を捻じ込みたい衝動が込み上げる。

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 愛羽さんが感じている姿や、反応は、そっくりそのまま私に返ってくると言っても過言ではない。
 彼女が感じていれば私は興奮を覚えるし、私の愛撫に喘いでくれる反応があれば、やっぱり昂るものがある。

 私は溜め息のような吐息を吐き出し、無意識に、声が混ざったことに驚きを覚えた。

 ――まるで本当に愛羽さんを攻めている時みたいだ。……つられて喘ぐだなんて。

「愛羽さんのナカ…ぐちゅぐちゅ。……こんなに濡れるくらい、感じてくれてるんですね?」
「…ゃ…、ぁ……っ」

 想像力が豊かというよりは、私の場合、記憶が鮮明だと捉えた方がいいだろう。
 身体を重ねた記憶から、愛羽さんのナカの具合を思い出す。愛羽さんのナカがどんなふうにうねって、どんなふうに指を締めつけてくるかを思い出すなんて、私にとっては容易なことだ。

 そのくらい、簡単に思い出して描けるくらいに、彼女とは何度も身体を重ねてきた。

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「あぁ、ほら……愛羽さんの一番奥まで全部入っちゃいましたよ……?」
「す、ずめちゃ……っ」

 名を呼ばれたことも、その声が震えていることも、承知の上で、私は言葉を続ける。

「そんなに締め付けて……欲しくてたまらなかったんですか?」
「や、だぁ……っ」

 彼女を愛撫する指が、暴走したがっている。
 でも、まだ。まだ駄目だ。愛羽さんは、言ってない。

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「指、曲げられないくらい締まってる……力、抜いて……?」
「んんっ、雀、ちゃ……ん、っぁ、……ちゃんと、して……っ」

 入り口を撫でる私の手を捕まえた愛羽さんにはあまり力が入っていない。多分、本人は必死に、全力で私の指を入れて欲しがっての行為だけど、想像によって身体に走る快感で手に力が入らないのだろう。

 弱々しく手の甲を握られて、私は小さく口角を上げた。

「何を、どうして欲しいんですか?」
「……っ」

 あぁ、まだ、羞恥心が残っていたか。
 ここまで焦らして、さらに、彼女自身の想像力をフルに活用して性欲と快感欲求をかき立ててみたけれど、もう少し足りなかった。

 潤んだ瞳でこちらを見上げる愛羽さんの耳は、赤らんでいることだろう。

「何をどうして欲しいのか、言わないとしてあげられませんからね?」

 悪魔のような笑みを浮かべて、私は彼女に宣告した。

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