※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 17 ~
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彼女が露天風呂に姿を現したのは、わたしがシャンプーを済ませて、コンディショナーを洗い流していた頃だった。
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コンディショナーを流し終え、彼女の脚元へシャワーが跳ねないようにコックを閉めてシャワーを止める。
顔のお湯を拭って彼女を振り返れば、荷物を抱えていた。
まず彼女の指に引っ掛けてあるのは、まるでチアリーディングのポンポンを小さくしたようなウォッシングボール。
次に腕に抱えた真新しいバスタオル2つ。
そして最後に自分の下着の替え。
――すごい、完璧じゃない。
「はい。どうぞ」
「ありがとう。雀ちゃんはいい奥さんになれそうね」
手渡されたウォッシングボールを握って、その準備の良さを褒めると、当の彼女は首をひょこ、と捻って不思議そうな顔をしながら、持ってきた物をまっ平な石の上に置いた。
「は? 奥さん?」
「わたしが忘れていったもの全部持って来てくれたから」
あぁ、なるほど。と破顔した彼女は腰の帯を解きながら「さっきの愛羽さんは慌てん坊でしたからね」と目を細めて揶揄う。
「だって雀ちゃんが恥ずかしい事何回も聞くんだもん」
「そりゃまぁ大事な事ですから、ちゃんと聞いておかないと。恋人として」
数分前のわたしの言葉を真似した雀ちゃんは手早く全てを脱ぐと、わたしの傍までやってきた。
「大好きなひとに嫌な事はしたくありませんから」
太陽の光を浴びて、笑顔を見せた雀ちゃんにキスされて、ここは南国のビーチかと錯覚しそうな程、彼女は爽やかだった。
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「ん」
口付けを終えた後、わたしは唇に手をあてた。
爽やかだったのは彼女の笑顔だけではない。
「雀ちゃん、歯磨きしてきた?」
「あ、わかります?」
ずるい。慌ててたからわたししてないのに。彼女は玩具を買った……のかどうかは分からないけど、その後に悠々と歯磨きをしてやってきたみたいだ。
道理で随分と遅かったわけだ。
ミントの香りをさせながら「だってカレー食べたし」と笑う雀ちゃんはシャワーのコックを捻った。
「愛羽さんお湯に弱いから絶対わたしより先にあがるし、その間に歯磨きできるじゃないですか」
ね? とやっぱり笑顔を見せる雀ちゃんが、今はなんだか大人びて見える。
ほんと、多面性のある子と一緒にいると飽きないし、年上役、年下役とどちらかだけに徹するのではない所がおもしろい。
なんだか一本取られた気分だけど、それも悪くない。なんて思いながらわたしはウォッシングボールにボディソープを垂らして泡立てた。
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「お先に」
「あ、いいなー」
なんて軽く言い合って、体を洗い終えたわたしはゴツゴツとした岩造りの露天風呂へと向かった。
彼女が言う通り、わたしは熱いお湯が苦手。
だから傍にしゃがんで、手でお湯の温度を確かめるように手でかき混ぜてみた。
――あ、悪くない。
彼女がお湯の温度を低めに調整してくれたのかは不明だけど、温泉のように熱くて熱くてビリビリくるようなお湯ではない。
立ち上がってゆっくりと足先を沈めて、腰を下ろす。
肩より少し下まで浸かって、自然と零れたのは溜め息。
深く深く、「はぁぁぁぁ」と漏れたその息は、体中の疲れを一緒に吐き出したみたいだった。
多分ここのお湯はただの水道水を温めただけのものだけど、足を伸ばして腕を伸ばしてゆったりのんびりと浸かれるこの大きさだけで癒されるものがある。
家のお風呂だと、毎日はお湯を張ったりしないから、なおさらだ。
こんな時ばかりは、日本人に生まれてよかったなぁとしみじみ思った。
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